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島崎秀
type-O→P(転向) プロトタイプ006
所属/明宮工業→速水製薬→WRO東京支部司令部
コア位置/右眼
新東京都を治める東京支部の現司令官(実質のトップ)。■■年前の『支部革命』で前任の不正を暴きその地位を得たため、組織内での評価は非常に高い。
同期だった速水のことを強く信頼しており、『盟友』とも呼べる関係性。
『誰一人取りこぼすことのない街』をスローガンに掲げているが……。
生前は島崎財閥の次男。自ら志願し、アンドロイド研究の礎となった。
Side Story
「うん、中々良いね」
完成したレストランを見渡して、僕は大きくうなずいた。
流石僕のセンス。功労者に与えるに相応しい出来栄えだろう──などと頭の中で自画自賛しつつ。
……実際のところ、これを好きにして良いなどと言って喜ぶような女性ではない。金にも名声にも興味はなく、彼女が求めているのは隙間を埋める『何か』だけ。その一つが食事だったに過ぎない。
速水には世話になったから、気持ちだけでもと思った。少なくともこれまでの東京支部にこういった娯楽的な施設は存在しなかったし、無駄にはならないだろう。
かつて友が語った言葉を思い出す。『英雄は顔がないんですよ』と、冗談交じりに彼は笑っていたが……まさか自分がそうなる日が来ようとは。
『偶像』では彼女の隙間を埋めることは出来ないと知りながら、この道を選んだ。僕にはこのくらいが丁度いい。
飽き性の僕では、ひとつのために人生を懸けるなんて出来ないのだから。
瞼を閉じれば鮮烈に浮かび上がる、あの日の記憶。
二度と語られることはないだろう。二度と戻ることはないだろう。
ただ、祈りのように願った。
僕の守る世界で、大切な人達だけでも笑っていて欲しい。
そんな身勝手極まりない願いを、都市の夜景に託した。
