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瀬野瑛人
type-P プロトタイプ009
所属/速水製薬→WRO東京支部医療班
コア位置/右腕
医療班主任医師。東京支部の行う医療行為はすべて彼の承認により実行されている。
所謂『秀才』と呼ばれる気性で、気難しく神経質。潔癖症で、自分の私物を他人に触らせない程徹底している。
長年不眠に悩まされており、部屋や診療室に睡眠薬を大量に常備している。
速水製薬社長・速水祐三の遠縁。
自分を差し置いて養子に選ばれた同期の速水に不毛な片想いをしている。
恨みの類は年月の経過と共に捨てた模様。
Side Story
君がいない世界を思い出せない。そう気づいた頃には、手遅れであることもまた理解していた。
君の体温が消えて目を覚ます。早朝のベッドの残り香すら時の経過と共に馴染んでいく。
俺はそんな日々をあと何年繰り返すのだろう。
生きていれば一生分。
──死んでいたなら未来永劫?
……馬鹿げた話だ。幕引き後の余韻にしては長すぎる。
それでも、それでも。俺はまた、願ってしまう。
手遅れであることも理解している。君が救われる未来なんて、少しも存在しないのを知っている。
誰も彼も冷たい言葉で突き放していればいつか君は諦めるだろうと高を括っていた俺を嘲るように、世界は君という存在を与えた。
少しだけ高いと思っていた背丈はとうに追い越して。
褪せない記憶ばかりが積み重なって──時間と俺を置いて少女のまま在る君を、見ていた。
ずっと、見ていた。
俺がいなくても、君のいない世界は訪れない。
それだけの、話だった。

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